夜喫茶_001

 

久々に大好きな、夜の喫茶店へ。

 

私にとってこの喫茶店はとても特別で、

「何かを取り戻したい」時に、行きたくなる。

此処に来ると、なんだか大切なことを思い出させてくれるような、そんな場所。

 

私以外の客も、それぞれの時間を静かに楽しんでいる姿が見える。

ゆっくり、ゆったりと時間が流れていく空間。

聴こえてくるのは、外にいる虫の声と、調理する音。

 

行く度に、段々と本の数が増えてきている。

既にとうにある本たち。知らないモノはたくさんある。

 

此処の喫茶店に来ると、色んなドリンクメニューがあるけれど、

そのお店のオリジナルブレンドが飲みたくなって、結局、いつも通りのものを嗜む。

 

オリジナルブレンドって、特別だよな。

香りごとそのお店の思い出になったり、

マスターが大事にしているものが込められているような気がする。

 

マスターがひっそりと何かを準備したかと思いきや、

21時を過ぎてから、ギターを持って、

「拍手は要らないので、皆さんそれぞれの時間を楽しんでください。」

 

そう言いながら、彼は演奏を始めた。

また一日が過ぎていく。

頭の中に佇んでいた言葉にならない孤独な感情が、そっと外に押し流れていく。

どうやら考えていたことは、一人じゃなかったらしい。

 

そろそろ家に帰ろうと、会計を済ませた。

外に出てふと空を見上げたら、

長い流れ星を見た。

 

今日は本当にいい日かもしれない。

願い事が叶いますように。